前回までのあらすじ)
小学生から高校途中まで、勉強中心の学生生活を過ごし、非モテな人生送る主人公。彼はのちにナンパ師となるのだが、そこに至るまでにどのようないきさつがあるのだろうか・・・。


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はじめて出来たカノジョをたった1週間で手放し、気づけば高校3年生になっていた。オレのクラスは医学部志望の生徒が8割を占める。しかしオレは別に医学部に行きたいとは思っていなかった。いや、行きたくても行ける成績ではなかったと言ったほうが正解だ。

国立大学や医学部を志望する生徒がほとんどのこの学校。オレも同じくそれを目指して勉強をしていたが、学年が上がるにつれてどんどん成績は悪くなる。いわゆる落ちこぼれだ。

そんなオレがなぜこのクラスにいるのか。それは単純に理科の選択科目が生物だったからだけ。医学部へ行くやつは大抵理科は物理ではなく生物を選択する。しかしオレはただ単に物理が苦手だから生物を選択しただけ。そんなオレはこのクラスでは他の教科でも医学部志望に照準を合わせた授業について行けるわけもなく。ますます落ちこぼれて行った。数学とか特に、クソ難しかったのを覚えている。 

さて、勉強の話はさておき、オレの非モテ人生はどうなったか。まったく変わっていなかった。ただ、高校から男女共学となり、ラッキーなことに生物選択のクラスは女子が結構いた。しかも鬼のようにガリ勉のブスばかりというわけでもなく、まあまあ可愛い子もいた。

しかし、ただでさえイケメンが持てる高校時代にブサイクで、成績もクラスのベベタのオレがモテるわけがなかった。しかしオレは唯一そこでモテる可能性を見いだした。それはお笑いだ。とにかくオモロイことを言いまくり、クラスの人気者になった。はじめは男子しか相手にしてくれなかったが、だんだん女子も笑ってくれるようになった。

休み時間になるとクラスで男女6人くらいのグループでおしゃべりをよくしていた。その中で可愛くてちょっとエロそうな女の子がいて、オレが面白いことを言うといつも笑ってくれて、いつしかオレは恋をした。

あるときの休み時間。いつもはグループでしゃべっている彼女だが、この日は一生懸命机に向かって勉強していた。気になってそれをのぞき込み、何をしているのか尋ねた。この時期はそろそろ受験勉強も架橋に入り、それぞれが志望校に合格するために必死で追い込みを掛ける時期。彼女がやっていたのはZ会という通信教育だった。

オレはそれに興味をしめした。すると別の男が会話に入ってきて、自分もやっていると言い出した。すると彼女と男はZ会の話題でとても楽しそうに話をし始めた。それをうらやましそうに見るオレ。すると彼女が「一緒にやろうよ」とオレにZ会をすすめてきた。オレは「うん」と言ってその日そっこう申し込んだ。アホだ。

高校3年の3学期。いよいよ受験直前。オレは偶然にも好きになった彼女と隣の席になっていた。なにげない会話のなかで、バレンタインデーの話になった。チョコレートあげるあげないの話になり、彼女は「受験で忙しいし、今年はチョコレートなんて誰にもあげない」と言う。オレは冗談交じりに「いやいや、せめてオレだけにはちょうだいな」と言った。

バレンタインデー当日。毎年男子がそわそわする日。オレもこの日少しだけ期待しながら登校した。すると、彼女から手渡された、チョコレートを。このときオレはどんなリアクションをしただろう。まったく記憶にないが、多分キモくてキョドった表情をしていただろう。そしておそらく、ちょっとにやけていたであろう。

家に帰り、手渡されたチョコレートを眺めながら一人で考える。これは、オレのこと好きなんじゃないだろうか。いや。ない。けど。うむ。どういうことだ。結果オレはその1ヶ月後、彼女に告白するという暴挙に出た。そして、余裕でフられた。

幸いにして恋には破れたものの、大学受験には合格した。成績の悪かったオレだが、それなりに受験の直前は猛勉強し、センター試験も模試では一度も出したことのない点数をたたき出し、二次試験も不思議なほどクソ余裕で問題が解け、あっけなく合格した。

そしてこれまでモテなかった人生を断ち切る、夢のキャンパスライフを送るのだ。大学に入れば今までの交友関係はリセットされる。ダサイ眼鏡からコンタクトにしても、誰も眼鏡時代のオレを知るものがいないから、イジられることもない。髪を染めてもイジられない。俗に言う大学デビュー。今思えば相当イタイ。入学式の日のオレは漫画「今日から俺は!」そのものの金髪だった。

大学生はチャラい。とにかくチャラい。特に入学したては、連日”新歓”。新入生歓迎会の略で、いろんな部活、サークル、団体が新入生を集めて飲み会を開催しまくる。そしてとにかく酒を飲みまくる。大学生のほとんどがだいたいここではじめて酒を覚える。

若いから無茶な飲み方をして、はくやつ。つぶれるやつ。あばれるやつ。本当におろかである。しかしそのときのオレはとにかく調子に乗って、アホほど酒を飲みまくった。多少酒に強いことをいいことに、飲めるやつが偉いという意味不明な価値観で、いかに自分が飲めるかをとにかくアピールしまくっていた。

あるときの新歓。いつものように調子に乗って飲んでいると、2つか3つ上の先輩が、「あそこで新入生と話してきなよ」と言って来た。見ると女の子だった。いわれるがままその子の近くの席に移動して一緒に飲み始めた。オレも酔っ払ってたしその子もすでに結構酔いが回っていて、ずっとゲラゲラ笑いながら話をした。

話が盛り上がってきたところで、またさっきの先輩が話しかけてきた。「送っていってあげなよ」と。「あ、はい」とオレは答えた。

二人で会場を後にし、てくてくと最寄り駅までの夜道を歩く。さっきまでゲラゲラと笑いながら話をしていたが、いつの間にかお互い無言になっていた。なんだか気まずい。気まずさに耐えきらずオレは適当な話をした。女の子も若干気まずそうにしながら相づちを打つ。

駅に着いた。さっき先輩に送って行けと言われたが、どこまで送ればいいんだろうか。そういやどこに住んでるか知らない。オレは尋ねた。「電車、どこまで行くの?」女の子は答えた「○○駅まで」そしてオレは言う「あ、オレも。一緒やね」完全にウソをついた。

一緒に電車に乗った。遅い時間ということもあり、ほとんど乗客はいない。ガラガラだ。横並びのシートに隣同士で腰掛ける。○○駅まで15分ほど。その間、手を握りあった。で、あろうことか、乳を揉んだ。そして、キスをした。おもくそベロチューをした。ここは電車の中である。

○○駅についた。一緒に降りる。降りたホームでベロチューをした。鬼のようにベロチューをした。あんあん喘ぐ女の子。通行人が何人も通りかかる中、ベロチューをし続けた。

お互いかなり酔っていた。かなりの時間ベロチューをしたのち、オレは行った「オレと付き合ってください」女の子は答える「うん」と。そしてその場で翌日デートに誘った。すぐさまカノジョはいいよと言い、今日はバイバイして翌日昼からデートをすることになった。

そんな感じで大学に入って始めてカノジョができた。人生では2度目。はじめてのキスは泥酔状態での電車の中でのベロチュー。ついでにはじめておっぱいも揉んだ。それでもこの時点ではまだ童貞。




(つづく)